アウトドア雑誌BE-PALに漫画「サバイバル/さいとうたかを」一巻が付いていた

投稿日:2016年5月14日 更新日:

小学館のキャンプを中心としたアウトドア雑誌、「BE-PAL(ビーパル)」

数あるアウトドア雑誌の中でも「身近に楽しめるアウトドア」といった内容のイメージのあるBE-PAL

そんなBE-PALの6月号の特集は「いざというとき、強い!野性力を身につけるキャンプ術」

いわゆる、火起こしの仕方とか、水の確保の仕方、ローピングみたいなキャンプの中でいざという時に使えるTIPS的な内容なのですが、付録がなんとあの「ゴルゴ13」で有名な「さいとうたかを」先生の漫画「サバイバル」第1巻

200巻近く続いているゴルゴ13以外に、さいとうたかを先生が何を書いているのかよくわかってなかっておらず、実はそんな漫画を描いていることすらも知らなかったです。

BE-PALの親近感を覚えるアウトドアカジュアルな紙面と完全に真逆な劇画調の超絶シリアスな表紙。

BE-PALの内容以上に気になったので、本誌もそっちのけで付録の「サバイバル」を読んでしまいました。

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絶望、絶望、そして絶望

前述の通り、BE-PALのカジュアルな雰囲気とは相対するビジュアルに加え、内容自体も凄まじくハード。

無人島に漂流した一人の中学生が、生きるためにいろんな知恵を絞って生き抜こうとしていく話なのですが、とにかく絶望的な状況しか続きません。

木の実を積んで飢えをしのいでいたら、島の動物たちに食い散らかされて枯渇するわ、魚捕まえたと思って火を起こそうとしてもうまく起きない、住処がないから洞窟を掘って住んでたら地震が起きまくるので生き埋めになりそうになるわetc...

極め付けは、島だと思ってたところが地震の影響で日本列島が海に沈み、たまたま沈まなかった山であり、助けを求めてもどうしようもないことに気づくのです。

どうやら22巻まである漫画らしいですが、1巻で既にどうしようもない絶望の淵に追い込まれる中学生。

しかし、絶望してもしょうがないからと、何としてでも生き抜くために、中学生がありとあらゆることを生きるために始めます。

竹を切り出して弓を作り、漂流した船の木材についていた釘を二日かけて削った釣り針で魚を釣る。

とにかく生き延びる為に、ありとあらゆることを試すのですが、トライ&エラーの日々。
その中で生きる術を学んでいくのですが、トライ&エラーって言っても生きるか死ぬかの世界

学校でならった知識を元に食べたキノコが毒キノコで死にかけることでキノコの見分け方を学ぶ。

脱水症状にならないように水の確保に必死になるが、たまたま水が十分確保できなかった日のほうが翌日疲れが残らず、水は飲み過ぎない方がいいと気づく。

洞窟が崩れないように柱を立てようと小さなナイフで何日もかけて木を切り、支えるための重い石を何日もかけて洞窟に運ぶ。

少しずつ少しずつ、生きていくために働くが、なにぶん一人だから時間がかかる。

その中でも更に生きる術を学ぶが、熊の襲来、訪れる冬、とにかく何やっても絶望が絶えず襲っていくる中で、生き抜く為に知恵を振り絞る。

BE-PALの付録でいいのかはさておき、生きる術について考えさせられた

「身近なアウトドア」とは懸け離れた、「どうしようもない絶望」を描いた作品ではあるが、生きる術というものについてはとても考えさせられました。

人間は本当に必要に迫られた時に、どういう行動をとるのか。

主人公の中学生は知識も生きるためのアイテムもほぼ皆無のような状況からスタートする。

絶望に次ぐ絶望を味わい続けるのだから、「いっそ気が狂ってしまった方がいい」と思い始めるわけですが、結局は「生き抜く」ことを彼は選んだ。

そして生きる為に、あらゆることに挑戦し、死ぬかどうかのチャレンジをし、死にかけながら生きる術を学ぶ。

絶えず絶望はやってくるが、嘆いても腹が減るだけだからと生き
る為に知恵と汗を振り絞り、生きた心地のしない状況の中で、生き抜くための手段を探す。

「サバイバル」の内容はあまりに極端な例だと思いますが、大なり小なり生きていく上では、絶望や壁にぶち当たることは沢山あります。

その中で、どう絶望や壁に向き合い、行動が取れるのか。

さいとう先生が描きたかったのは、まさしく現代社会における「生きる術」を考えさせることだったのではないだろうか。

「サバイバル」が発表されたのは今から40年近く前。

恐らく当時より今の方が、価値観の多様化や情報の氾濫によって生きにくい世の中になってきていると思われる。

そんな未来を予見をしていたかどうかはさておき、どうやって生き抜く術を身につけるべきかは生き物としての本質的なテーマである。

何かにぶち当たった時に「失敗しても死にやしない」と言った気休めの言葉があるが、そんな生き物としての本質的なテーマに触れると、ただの気休めではないことにも気づくし、だからこそポジティブに困難に向き合うことができるのでないかと思える。

生き抜くために知恵を絞り、失敗から学び、生き抜く術を身につける。

現代は生きにくい世の中ではあるが、「失敗しても死ぬ」ケースはそんなに多くはないはず。
だから、思い切ってチャレンジすればいい。

1巻しか読んでないけれど、全巻読みたいなと思いました。

しかし、BE-PALの付録としては、濃厚すぎるでしょ笑
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