ここのところ高校生くらいの頃に聞いていた音楽を思い出すことが多い。
最近に至っては高校生の頃に使っていた安いギターなんかも引っ張り出して、メンテして引いている次第。
そんな中、syrup16gの「生活」が妙に頭の中から離れない。
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syrup16g自体そんなに詳しいわけではないけど
いうほどsyrup16gのことを知っているわけではない。
結局、当時Number girlやbloodthirsty butchers、eastern youthなどの日本のオルタナ(当時のロキノン系といったほうが正しいのか)を聞く流れの中で、かいつまんだレベル。
それでも、当時インディーで発売したsyrup16gの「COPY」だけはよく聞いた。
とにかく、全体的に「鬱」
当時、the back hornなんかも相当に鬱感が酷かったけれど、あちらがなんだか作り上げられた鬱々しさなのに比べて、syrup16g、というか五十嵐隆の人間的な退廃ぶりが滲みでていたところに、妙に人間的なリアリティを感じたのである。
「鬱」っぽさ、という意味では、初期のBUMP OF CHICKENなんかも、それはそれは鬱々しい感じの楽曲もあった。
「続・くだらない唄」とか、相当「鬱」ってた。
あれはどちらかといえば、童貞的な絶望感というか、初期のBUMP OF CHICKENに見られた童貞臭における「隠」の側面だとは思うけど。
そのあと、天体観測があって、あれこれとヒットしていくうちに、いつの間にかリア充感満載のバンドになり、10代のイノセント童貞感はRAD WIMPSに明け渡すような感じになるのだが。。。
話は戻りますが、syrup16gの鬱々しさは、やや病的なところを過度にオーバードライブしたようなところもあるものの、根底にある本人の「本質的な鬱成分」が色濃くというか、生々しさすらある。
ああ、この人はきっと、本当に、病気なんだろうな。
ここでいう病気とは、病院にかかるような病、いわゆる鬱病ではなく、先天的に兼ね備えた病的な根暗さだと思っている。
ただ、その割には妙にポップな曲を書く。
そのギャップというのもある意味Syrup16gの魅力。
歌詞は完全に鬱だけど。
「生活」という名曲
なにはともあれ、syrup16gの楽曲の中で圧倒的な存在感というか、一聴した時に突き刺さったのは、「COPY」収録の「生活」
言わずもがなの代表曲なんだけど、以降のsyrup16gにはない、とびきりのポップさを持った名曲であることに異論を挟む人はいないだろう。
ポップなんだけど、ギターの荒っぽい質感や五十嵐隆のやるせない歌い方、そして20代前半独身一人暮らし男性ならかなり高確率で経験のある、「あまりにもグダグダな一人暮らしの荒んだ暮らしぶり」の中で感じる、グズグズな自分に対して憤りを超えて諦めすらあるような感覚。
ダメ男の生活、手に置いた胸に突き刺さるような生々しさを、極上のポップさで叩きつけられるわけです。
先天的な鬱々しさ、というところはさておき、誰しもが持ちえそうな負の感覚をここまで的確に生々しく表現するというのは、それはそれで斬新だったのではないだろうか。
情けなさを極限まで高めたポップソングは、光輝くロックスターにはなり得ないだろうけど、なんとなく2000年代前半に、何かに諦めをもった人たちにとっては深く突き刺さるような音楽だったのだろう。
NIRVANAも、疎外感に溢れたジェネレーションX世代に突き刺さった音楽であり、そういう意味でのオルタナティブミュージックとしては、病める若者に対するドンズバな音楽だったのかもしれない。
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