ポストロックとはなんなのか、語れるほど理解はしていないので、自分の中の整理をしてみる

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一般にポストロックと呼ばれているものが好きだと思っているのだが、実はイマイチその定義がよくわからない。いったいポストロックとはなんなのか。

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ポストロックに対する嫌悪感

「ポストロック」という単語を明確に意識し始めたのは、おそらく高校生くらいでしたが、その頃描いていたイメージは「暗い」「妙にリバーブかかってる」「電子音とか打ち込みが混ざっている」といった実験的な感じで、なんとなくレディオヘッド(当時ちょうどAmnesiacとかHail To The Thief がリリースされた頃ってこともあり)とかをイメージしていたのですが、ナンバーガールとかブッチャーズといった無骨なオルタナを聞いていた自分にとっては、軟弱なイメージもあってかなり喰わず嫌い的に避けてました。

例えば「くるり」にしても、「図鑑」の頃はかなりストレートなロックのアプローチをしていましたが、「TEAM ROCK」「world is mine」の頃になると実験的なアプローチが強くなってきたことに嫌悪感すら感じてました。
今となっては「world is mine」が「くるり」の最高傑作だと思ってますが。

「スーパーカー」なんかも同じく、「スリーアウトチェンジ」の荒削りな感じがすごい好きだったのに、リリースを重ねる毎に妙に電子音とかも入ってきたりで、とにかく電子音や打ち込みが苦手でした。


今となっては、初期スーパーカーのローファイ感も、「my bloody valentine」に影響受けてるってこともわかりましたが。

振り返ってみるとわかりやすいのが、好きだったと思うのですが、当時あれだけ熱狂したナンバーガールも、ZAZEN BOYSになってからは急激に興味も薄れてしまったり。

ポストロックのもつエモさに惹きつけられる

20歳過ぎたころくらいからいわゆるダンスミュージックを聴くようになってから、上述のような過去の自分が嫌悪感を感じていたポストロックと勝手に思っていたものについても、徐々に理解し始めるようになったのですが、その中で自分の中で惹きつけられたのは、やはり「エモさ」でした。

ポストロックと呼ばれているバンドの中で最初に「かっこいいな」って思ったのは「downy」


ちょうど「Mars volta」が結成された直後くらいに、後追いで「At the drive in」を知って、「ナンバーガール」や「eastern youth」のような激情的な音楽に飢えていた自分にとっては、ものすごい衝撃だったのですが、その流れで友達に教えてもらったのが「downy」

加えて「mogwai」や「mew」が注目され始めてきた時期だったこともあって、学生時代の先輩もかなりポストロックよりのことをやっているバンドが多く、ポストロックがというよりも足元に沢山エフェクター(特にディレイとかの「空間系」)を並べたりする変則的なバンドがかっこいいと思うようにもなりました。

一つ前のエントリーで紹介した日本のポストロック界の雄、toe

究極の副業バンドtoe山嵜廣和への偏愛

実は僕自身かつてはtoeをポストロックというより、エモの文脈の中で聞いていたので、あまりポストロックだと認識してはいませんでした。

結果として、「ポストロック」として括られていた、というだけで、「downy」もそうだし、そこから色々と食指を伸ばしていたバンドについても根本的には「エモさ」に惹かれていただけであり、今もそれは変わらないような気がしています。

Album leafやmiaouあたりも、ダンスミュージックの文脈として聞いている中で、エモの文脈に呼応するところを感じて好きになったところもあるので、実はポストロックという文脈で聞く、ということはあんまりよくわかっていません。

つまるところ、ポストロックってよくわからんけど、個人的にポストロックを解釈してみた

あくまでも、主観的というか、自分の好きな要素が含まれているもの、としてポストロックを定義してみる。

・ギターにやたらディレイがかかっていて、メロディというより響きを重視
・展開が複雑もしくはめちゃくちゃミニマル
・哀愁感あるフレーズがミニマルに展開する
・歌が前に出てこない

言葉にすると、一般的な定義と合っているような合っていないような、雰囲気的なものもあるのかもしれないが、上記を当てはめたときに「ポストロック」だと思う曲をあげていってみる。


クラムボン、というかミトくんらしさ満載って時点ですでに普通の楽曲ではないけれど、6/8拍子に謎の展開、歌っていうか語り、郁子ちゃんの声すら楽器として空間的に使われていたりで、いかにもポストロックって感じではありますが、個人的にクラムボンの曲の中でもかなり好きな部類。


かつてはカミソリみたいな切れ味の骨太ロックを鳴らしていたmo'some tonebenderが何を思ったか打ち込みを多用し始めた「triger happy」というアルバムを出した後に突然発表した、これまたそれまでの印象とはかなり毛色の変わった楽曲。
一応歌モノ、ではあるものの、過剰にエフェクトがかけられ、楽器的。
ミニマルに展開するエモいアルペジオに、ギター以上にブリブリ歪んだベースと叩きつけるようなドラムのアンバランスさ。
でも、なぜかこの後、また骨太なロックに戻るんですよね、モーサム。
が、なぜかドラムがギターに突如転向したり、ツインドラムになったり、ある意味で型にはまったようで、不規則なバンド。


これをポストロックっていうのはかなり抵抗ありますし、どっちかといえば歌モノなのですが、実はtoeのギタリストでありエンジニアである美濃さんがギターなんですね。
ちなみにベースは後にビートクルセーダーズに加入するクボタマサヒコで、ドラムはAsparagusの一瀬さん。
後のtoeに繋がる音響感というか、popcatherというバンド名にしてはポップだけどもものすごくひねくれた構成だったり、ギターの響きとか含めて一筋縄ではいかないところにポストロックを感じてます。


みんな大好きサカナクション。僕もキッズたちの盛り上がり方に若干小馬鹿にしていたところもありますが、稀に凄まじくトチ狂った曲出してきたりします。
ていうか、基本的にはかなり変態なんですよね、サカナクション。
ポップな面がフィーチャーされがちですが、この曲なんかは一聴すると、地味でミニマルな曲なのに、わけわからないところでダブ処理かましたり、サイドギターもかなり響きを重視した音の処理とかフレーズに徹していたり。

じゃあ、一般的にポストロックって言われているものって

そんなに詳しいわけではないので、少し穿った見方でポストロック感あるものを引っ張ってみてものの、改めて一般的にポストロックって呼ばれているものを取り上げてみる。


恥ずかしながらシガーロスって数年前まで「バンド」って知らなかったのです。
勝手なイメージで、ビョークのフォロワー(まあ近しい感じですが)のSSWだと思ってて、ヨンシーはさらにそのフォロワーだと思ってました。
(当然、楽曲もまともに聴いたことなかった)
音に奥行きのある感じとか、歌が全然前に出てこない感じとか、こういう言い方もよくないけどベタベタなポストロックって感じはしますが、個人的に美しすぎて、あまり得意ではなかったりします。
無機質すぎるというか、浮世離れ感がありすぎるというか、「血の通った」感じをどうしても求めてしまうのでしょうか。


これは説明不要ですね。今更語るまでもない。
tortoiseは徐々にジャズ的なアプローチに近づいていって後に中心メンバーがIsotope 217というバンドを始めますが、そこまでくるとポストロックというより、新しいジャズって感じになってしまうので、ちょっと違うかなって個人的には感じましたが、TNTは本当色褪せない。


今となっては中心メンバーのタイヨンダイが抜けて全く別物のバンドになってしまってますが、とにかく変態的。
というか、年々変態的になってしまって最終的にタイヨンダイの変態性にバンドが追いつかなくなったみたいな感じになったものの、やはり個人的にもすごい好きな感じにポストロックらしさに溢れてますね。

ポストロック=次のロック?

個人的に好きな感じのポストロックって、要するに「toe」しかり初期の「tortoise」や「battles」みたいに響きが特殊で複雑な構成で、やや変態的、無機質に見えて血の通った感じがするもの、ってことになってくるんですが、文脈を読み解いていくと「シカゴ音響系」と呼ばれるものに集約されてくるような気がしてます。
(上述であげたものには、ちょっと違うんじゃないかなってものもありますけど)
バンドじゃないけれどfour tetとかも、エレクトロニカやダンスミュージックの表現としてかなりtortoiseの影響感じますし。
(まあ、four tetはもともとFridgeっていうポストロックバンドの人ではありますが)

ちなみに、「ポストロック」の「ポスト」って、ずっと「ロックの新しい形」だとばかり思ってましたけど、「シカゴ音響系」と呼ばれる人たちがスタジオ録音後の「ポストプロダクション」という編集工程で大幅に音響的な加工を施す、みたいなところからきているっていう説もあるみたいですね。

こうやって考えながら文章化してみると、ポストロックそのものの概念は、自分の中でもまだ消化しきれていないところもありますが、個人的に好きな要素に限っていえば、「複雑な楽曲構成」「立体的な音響」「血の通った叙情性」みたいなところに集約されるのかなっていう整理に一旦落ち着きました。

なんだかとりとめのない感じですし、異論もあるだろうですが、一つの捉え方ということで。

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こういうので勉強したほうがよいかもな。

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