才能と努力の肉塊 和製ビヨンセ渡辺直美の凄みと躍動

投稿日:2016年10月23日 更新日:

渡辺直美がすごいことになっている。
「和製ビヨンセ」「新世代の動けるデブ」がついに「ワールドツアー」と称して海外公演まで行い始め、ついに体重は大台の3桁へ。

その勢いはもはやワールドクラスのデブ。

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渡辺直美の表現力の高さ

芋洗坂係長、極楽山本と、動けるデブはこれまでにもいたし、「エアあやや」なんかもデブではないけど芸の種類としては近い。

が、しかし渡辺直美にはこれらとは一線を画す、凄みがある。


これは今年のスーパーボウルのハーフタイムショー。
コールドプレイの演奏の後、5:40頃からブルーノ・マーズが登場し、その後ビヨンセが続いて最後はジョイントパフォーマンス。
とにもかくにもアメリカって感じのエンターテイメント。
しかし、ビヨンセの尻は、それだけで特大のエンタメだなって思う。。。

話はそれたが、このブルーノマーズからビヨンセのくだりを渡辺直美が今年の東京ガールズコレクションで完コピしているのだ。

衣装の再現度があまりにも高いが、そのためより渡辺直美の巨漢さが如実に現れ、そこはかとない存在感を醸し出している。

動きのキレもこの巨漢にしては恐ろしいものがあるが、なによりも迫力がすごい。
圧巻は最後のランウェイを歩く下からのカット。
ある意味本物のビヨンセにも負けず劣らずの気迫。

口パクの精度も、ただのリップシンクではなく、細かな息遣い含めて本当に直美の口から出ているような、恐ろしい表現力。

単なるコピーに留まらず、完全に自分の楽曲としてショーを構成している。

単に「デブがちょこまか動いたら面白い」とか、そういう次元ではなく、完全にエンターテイメントとして完成されている。

言語とか、国籍とか、そんなものを超越した真のエンターテイメント。

表現力を支えた努力。コンプレックスを強さに変える力。

基本的には「動き」で一発とってしまったタイプの人間なため、トークは基本的に苦手だった。

普通に考えると、この手のタイプの芸人って飽きられるのは早いし、一発屋に多い傾向ではある。

当然渡辺直美も、そこはコンプレックスとして抱えていたものの、結果としては自身の圧倒的な表現力をとにかく磨き続け、一つの芸を極限まで研ぎ澄ませることで彼女は芸人としての進化をしていったわけである。

コンプレックスであるトークについても努力の末に、今はテレビで見ても安心できるようになってきたが、そこはやはり根っからの努力家なんだろうと思う。

加えて言えば、コンプレックスを抱えた人間は強い。

言葉は悪いが、「デブ」はどこまでいってもコンプレックスであることには変わらないはずだ。
おかまバーなんかに行くと、飛び抜けてポジティブなオーラをまとったおかまのパワーに圧倒されたりするが、みんながみんなそうだとは限らないものの、コンプレックスからくる反動というか、そういう強さだと思ってしまう。
コンプレックスがあるからこそ、力強く前を向いていかなければ、とそんな反骨精神がなければ、社会という名の偏見に満ちた世界で生きていくのは辛い。
かつての黒人達が虐げられた背景の中でブルースを生み出したり、フレディマーキュリーやキースへリングのようにLGBTがエポックメイキングなカルチャーを生み出してきたという背景も、少なからずコンプレックスと戦っていたところもあるのではないだろうか。
(その辺りはミュージカル「RENT」を見たときにも思ったところがあり)

渡辺直美がどこまで「デブ」をコンプレックスに感じていたのかはよくわからない(そしてデビュー当時はそんなにめちゃくちゃなデブではなかった)が、「デブ」を自分の武器として尖らせていったのは、本当に素晴らしいことだと思う。
(最近だと、「斉藤さん」とかもそうなのかな)

さすがに「太りすぎて心配」という声も上がっており、あのキレのあるダンスを続けていく上で「膝への負担」はかなりのものだと思われるが、あの巨体も含めた圧倒的な存在感と表現力は、日本が世界に誇るエンターテイメントとして更に進化していってもらいたいものである。

そして、いつかマディソンスクエアガーデンあたりでビヨンセと共演してもらいたいものである。
(もしくはスーパーボウル出演)

自身が手がけている「PUNYUS」というブランドも絶好調、Instagramフォロアーも500万人突破と、ただの芸人の枠を完全に超えた渡辺直美のさらなる進化がとにかく見たい。

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